「マネー(money)」を日本語では「お金(おかね)」と呼ぶ。日本人にとって、「金(gold)」こそお金という認識があるからだ。
金(GOLD)は美しい輝きを放ち、錆びず薬品に溶けない、でも熱を加えて溶かすことができ加工もしやすく、たいへん希少価値があるとされている。そういったこともあり、その重さで価値を定めるのに大変都合が良かった。
その金(GOLD)でも世の中が生み出す価値を十分に保証することが難しい時代になり、お金(かね)をさらに十分に供給し、その価値を政府が保証すれば経済を一層活性化できることに多くの国が気づいた。すなわち、国家がパワーの源泉になればよい。
では国家はそのパワーをどこから生み出すのか?
石油がパワーの源泉に
高い価値があるとしても供給量が限られ、耐久性の高い金ではパワーの裏付けとして不十分となった時代。その代わりとしてふさわしいものが石油となった。
石油は消費することで即刻パワーを発揮する。加工することで様々な製品にすることができる。供給する量を増やしたり減らしたりするのも思いのまま。コントロール可能だ。
石油を掘り出せば掘り出すほど、金で行なっていたのと同じ発想で、お金を製造してそれと交換。その石油を使えば使うほどパワーが生み出され、お金のパワーの裏付けとなる。
しかも燃えて消えて無くなる(すでにパワーは発揮されパワーとして蓄えられた)ので、さらに掘り出しお金を刷って交換すれば良い。
こうすることでお金は全世界で消費される石油の生み出すパワーを交換可能にし、世界経済を支えるようになった。
変動相場でパワーコントロール
お金はパワーと交換可能だから、石油による価値の裏付けの元になった。そして石油を大量に消費することでパワーが国家に付与されたので、国が保証すればお金にパワーを付与することがいよいよ可能になった。
お金を発行している主体となる国が十分なパワーを蓄えたなら、他の国々も、もはや金庫の中の金に合わせてお金の流通を制限する必要などなくなった。そうして生まれたのが「変動相場制」だ。
この記事を書いている今日は 1$ = ¥115。そしてこの金額が上がったり下がったりする。
国家のパワーが強い状態でお金を大量に刷れば、その国はそのお金でたくさんのものを世界から買うことができる。見方を変えると、お金というパワーを出せば支配が可能になる。
国のパワーが益々強くなると期待できる間、バランスよくお金を刷れば、そのお金で国家は強くなっていける。だが、その期待が弱まると、お金の価値は下がってゆく。
円やドルが安くなったとか高くなったということになる。
お金の本質―それは仮想パワーだ
お金”Money”は仮想パワーであり、パワーを容易に移動させ交換可能にした道具ということ。であれば、そのパワーに強弱をつけられるならコントロール可能になる。
お金持ちとは、強力なパワーを自在にコントロールし、いつでも発揮可能な状態にあること。お金の流通とは、そのパワーバランスの変化。
逆も真で、強力なパワーをいつでも発揮可能な状態にあるなら、容易にお金持ちを生み出すことができるし、なれる。
では仮想パワーであるお金を「稼ぐ」とはどういうことだろう。